AI・データ利活用推進の取り組み
事業部門との密なコミュニケーションがAI・データ利活用の重要な鍵
データサイエンス技術部はAI・データ利活用推進を進めるにあたり「NTTデータからは、戦略提言や人材育成に向けた勉強会の企画運用など、 当社の文化や事業背景を深く理解いただいた上で、適切なサポートを実施頂いています。」とDX戦略本部デジタル戦略総括部データサイエンス技術部第二課長の藤原一継氏は語ってくれた。
特に各事業部門のデータ活用を進める立場にあるデータサイエンス技術部は、現場理解に加えて 「具体的にどのような進め方が良いか」や「類似する事例などの準備」等ノウハウ部分に関してNTTデータやDataRobot社と協力をすることで事業部門との密なコミュニ ケーションを可能にしているという。
データサイエンス技術部の社内認知向上に向けた取り組み
CoE組織としてさまざまな取り組みを進めている一方で、まだまだ課題と感じていた点もあるという。その1つが社内におけるDX推進取り組みの認知度だと言う。DX推進を通した事業ROI創出の為には、事業部側からの認知向上や取り組みへの巻き込みを強める必要があった。
そこでデータサイエンス技術部とNTTデータは「Kawasaki DX」と「AI・データ利活用」の社内認知向上に向け社内セミナーを定期的に開催した。開催テーマは、データ利用の基礎的な内容から社内外の具体的なデータ活用事例、生成AIやBI活用など幅広くおこない、NTTデータが講師の支援をするなど協力し、社内の認知度向上をはかった。結果として、初回から1000名を超える参加者が集まり、セミナー参加者のアンケートでは満足度が平均90%を超えており、啓蒙活動の効果も絶大だという。今後、参加者のアンケート結果をもとに分析・改善も進めていくようだ。
「デジタルサクセス®」のテーマ創出内製化支援により
多様なテーマ創出を実現
DX戦略本部 デジタル戦略総括部 データサイエンス技術部 第二課 基幹職 河田 久之輔 氏
2つ目の重要課題としてNTTデータと取り組みを進めたのが、ビジネスインパクトの大きなテーマ創出だ。ワークショップ開催などを通して、事業部側の業務課題を起点に重要テーマ創出に取り組んでいる。NTTデータとDataRobotからは、ワークショップの開催、テーマ管理のTipsや方法論提供などをうけながら、テーマ創出~成果創出活動の内製化を進めている。
取り組みの根幹であるテーマ創出ワークショップではさまざまな部門から、多種多様なテーマが集まっているという。DX戦略本部 デジタル戦略総括部 データサイエンス技術部 第二課 基幹職 河田 久之輔 氏は「2日に分けて開催し、前半に出たテーマや課題に対してアプローチ方法を調べるなど、周辺知識を頭に入れて後半に臨んでいます。アプローチの選択肢はNTTデータの引き出しの多さにとても助かっています。」と語っている。
購買資材の物価変動予測では約1億円のインパクトを生み出し
さらに事業部門だけでなく人事関連のテーマでも手応え
データサイエンス技術部では40件のテーマ創出を目標に活動してきたが、これまでに約60件のテーマが創出され、16件がPoCに発展している。PoCは本来の業務に忙殺されて予定通りに進まなかったり、CoEと事業部門で足並みが揃わずに難航したりするケースも多いが、「デジタルサクセス®」による伴走支援は事業の実態に見合った現実的な進行管理などプロジェクト進行を総合的にサポートしている。
川崎重工業ではすでに、購買資材の物価変動予測に関する取り組みで約1億円ものコスト削減も見込んでいるようだ。他にも大きな手応えを感じているテーマもあると言い、河田氏は「船舶プロペラの補修部品の需要予測や、航空宇宙エンジンにおける生産工程改善といった事業部門での導入には見通しが立っています。」と語ってくれた。
さらに事業部門だけでなく、人事部門ではメンタルヘルスケアのための取組も進めており、今後データ活用によるさらなる効果が期待されている。