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2022年12月12日展望を知る

データ活用を支えるデータマネジメントの在り方

デジタルトランスフォーメーション(DX)に係るあらゆるシーンにおいて、新たな付加価値を創出するためデータ活用が共通的に重要である。一方、データ活用に課題を擁する企業は多く、本稿ではデータ活用プロセスを正しく整備・管理するためのポイントを紹介する。
目次

1.高まるデータ活用の重要性

近年、急速なデジタル化の進展、およびモバイルやIoTデバイスの普及・浸透により、収集可能なデータ量が爆発的に増加しています。また多様なデータそのものが新たな付加価値を創出する等、データが競争力の源泉となっていることに異論の余地はありません。特にデジタル技術の活用を前提とした変革、すなわちDXに係るさまざまな取り組みにおいては、データ活用は単なるデジタル化の1テーマに留まらず、あらゆるシーンで共通して必要とされています。経営者を始めとしてデータ活用に携わるあらゆる人は、正確かつタイムリーなデータに基づき意思決定することで、新たな価値を創出することが可能となります。データが指数関数的に増加し続ける昨今、正しいデータ活用が経営の質や業務の効率を劇的に改善すると言えます。

そこで、全社員が適切なタイミングで適切なデータを活用できる状態を維持することが重要になります。そのためには全社的に統一された考え方の下、体系的にデータを整備・管理する必要があります。具体的にはデータ自体の正しさの担保や、データの性質に応じた品質の維持、データを活用する際のルール整備などです。収集・蓄積・活用・保守といったデータに関わる全てのプロセスを正しく整備・管理すること、すなわち「データマネジメント」こそがデータ活用の推進、ひいてはDX推進のために必要不可欠な要素であると考えます。

2.データマネジメント推進上の課題と対策

膨大かつ多様なデータを利用者が正しく活用するためには、データマネジメントの構想策定から定着まで多岐に渡るテーマを体系的に実施する必要があります。そのためデータマネジメント推進は中長期で取り組む必要があります。ただ、企業によっては取り組み途上で課題が生じ、結果的にデータ活用が上手く進まないケースが散見されます。今回は、データ活用に向けたデータマネジメント推進上の主な課題を3つ挙げ、それぞれどのように対応すべきか紹介します。

(1)業務負荷の一極集中

1つ目は「経営陣や業務部門など社内ステークホルダーからの要求がデータ活用推進組織に集中し、対応・調整が追い付かない」という事例です。分析業務そのものや分析環境の整備など、データ活用を取り巻くあらゆる業務を、データ活用推進組織で一手に引き受けている場合が多くあります。データ活用の経営への貢献度合を確認したい経営陣や、自身の分析テーマを優先したい事業部門の分析担当者など、関係各所からの要求がデータ活用推進組織に集中し機能不全に陥ります。
そこで、分析業務のうち基礎的な部分は業務部門に任せる、データ基盤の整備はIT部門に任せるなど、データ活用に係る機能の役割分担を見直すことにより、業務負荷の平準化を図ることが重要です。またこの時、データ活用に係るコストや分析の優先順位付け、統制の効きやすさなどさまざまな観点を考慮し、目的に応じて機能の役割分担を検討する必要があります。

(2)データ活用よりも、ツール導入が先行

次に「データマネジメント関連ツールを導入したが、上手く活用することができず、データマネジメント推進の取り組みそのものが頓挫する」という事例です。これは利用者のデータ活用の成熟度が低い状態でデータカタログツールなどを導入し、利用者のニーズに応えられないことが原因です。まずはExcelや社内ポータルを活用するなど、データ活用に係る会社の現状・将来像を踏まえた優先的な機能から整備し、データ活用による便益を明確化することが重要です。これにより利用者は、データ活用の重要性を認識することができ、さらにデータ活用の成熟度向上に合わせて施策を適用することにより、過剰な投資を抑えることにもつながります。

(3)データ活用の成熟度に見合わない統制ルール

最後は「利用の都度必要となる申請や、他部門のデータを参照できないなど、データ活用推進組織の主導で策定したデータ利用に関するルールが厳しく、利用者がデータ活用から離れていく」という事例です。これはデータ活用推進組織のセキュリティ意識が先行してしまい、現場のデータ活用状況を考慮せずに厳しいルールを導入し、データ活用の意識や文化そのものが形成されづらくなることが原因です。
データ活用を推進するためには、利用者の広がりやデータ活用の成熟度を加味した段階的なルール整備が必要です。現場の活用目的を重視しつつ、データ利活用を抑制しないようバランスの取れた統制ルールを策定することが重要です。

3.データマネジメント推進のアプローチ

以上の事例を踏まえると、データマネジメント推進における成功のポイントは3つ。1.目的に応じてデータ活用に係る機能を適切に配置すること、2.データ活用の成熟度に合わせて優先度の高い機能を段階的に導入すること、3.利用者のデータ活用の成熟度に合わせたバランスの良い統制ルールを策定することであると言えます。従ってデータマネジメント推進においてはこのポイントを考慮し、データ活用の成熟度に応じた次の3ステップで取り組むことが望ましいと考えています。

図1:データマネジメント推進のアプローチ

図1:データマネジメント推進のアプローチ

Step1:スモールスタート・クイックWIN

まずは必要最小限の施策を実施することでデータ活用を迅速にスタートし、利用者が短期間でデータ活用の効果を実感することを目指します。

データ活用の成熟度
少数のデータ専門家が利用者であり、特定の管理者が利用者のデータ活用状況を把握しています。

実施事項
厳しい統制ルールにより分析スピードを低下させないよう注意することや、データ活用の効果が得られるまで時間を要することを念頭に活動する必要があります。そこで迅速に効果を得られそうなテーマに絞り必要なデータを用意します。また全社的な情報セキュリティ規定に則り運用するなどにより、最低限の統制と分析スピードを両立します。

Step2:データ活用対象・利用者の拡大

続いて利用データや利用者の拡大に伴い、運用ルールの整備やサポート体制の構築を実施すると同時に、データ統合基盤構築に着手します。過剰な投資を抑制しつつ、幅広い利用者がデータ活用の効果を実感することを目指します。

データ活用の成熟度
利用者はデータ専門家以外も含め数十人規模に拡大し、それに伴い問合せが増加します。またデータ活用に一定の効果が見込まれることが分かり、活用の対象となるデータや分析テーマが拡大しています。

実施事項
データ活用プロセス全体に対する監督が困難になることが想定されるため、利用許諾やデータの持ち出しなどに係る必要最低限の統制ルールを作成します。また利用者のサポート体制を充実させるため、FAQ整備などのデータ加工を実施します。さらにStep3に向けた準備として、データマネジメントの構想策定やデータの活用と統制のバランスがとれた組織の構築・データを安全に活用可能な人材の育成およびナレッジ整備などが必要となります。

Step3:全社レベルでのデータ活用

最後に統制/サポートシステムを整備します。データマネジメントに必要なリソースを抑制しつつ、データ活用の拡大スピードに対応可能な体制・環境を構築し、利用者が主体的かつ安心・安全にデータを活用することを目指します。

データ活用の成熟度
利用者は100人以上の規模に拡大し、ばらつきはあるものの全社的にデータ活用文化が定着しています。また定期的な教育でスキルを底上げするなどにより、自部門以外のデータも活用した新たな視点での分析を実行可能となっています。

実施事項
最低限のルールや特定の責任者だけでは統制・監視が困難になりつつあり、部門間でデータがつながらないなど、人手を介したデータ活用支援や運用が限界に達することが懸念されます。そこでCDOの擁立・ルール強化/定着化など、ガバナンス組織を立ち上げます。またデータカタログなどの分析支援ツールや運用自動化のための監視ツールなどを整備します。

4.データマネジメント実現のためのサービスメニュー

上記の解説したようにデータマネジメント実現にあたっては計画的なステップを踏んで実施していくことが必要です。そこで、NTTデータではデータマネジメントの計画から実行まで、テーマごとにサービスを用意しています。お客さまのデータ活用状況に合わせ、すでに数十社以上のデータ活用の支援の実績をもとに、各種サービスを組み合わせて提供しています。

図2:データマネジメント推進に係るテーマと弊社支援イメージ

図2:データマネジメント推進に係るテーマと弊社支援イメージ

(1)データマネジメント構想策定

教育によりデータマネジメント理解を深めていただき、アセスメントによる現状把握と併せ、目指すべきデータマネジメント像とそのロードマップを策定します。

(2)データガバナンス体制構築

データガバナンスを推進するための体制・役割・プロセス・ルールを定義し、組織構築を支援します。

(3)データ活用基盤の構想策定・構築

データ戦略・データ課題・ビジネスアーキテクチャなどのデータ要件に基づき、全社視点でのデータ統合基盤およびデータ構造の最適化を図ります。

(4)エンタープライズデータモデル策定

企業全体を俯瞰する視点を提供するためエンタープライズデータモデルを作成し、将来的な業務変化に柔軟に対応できるデータ構造およびシステム配置の実現を目指します。

(5)活用データ整備

分析用データ整備・メタデータ管理整備・データ品質整備を実施することで、データ加工処理の簡便化やデータ検索性の向上など、データ活用の促進を支援します。

(6)データマネジメント定着化

各データマネジメント施策の取り組みを成熟度として都度評価し、活動に係るPDCAサイクルを回すことによりデータ活用文化の醸成を支援します。

NTTデータでは、お客さまのデータマネジメント推進活動を中長期的にご支援することにより、お客さまとNTTデータの継続的な発展・成長を実現します。

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