Konica Minolta

コニカミノルタ、ショッパー行動解析サービス「Go Insight」にTableauを導入 レポート作成の工数を大幅に削減、埋め込みによりわかりやすい表現も可能に


ヒートマップ等特殊な可視化&レポーティングで必要だった開発が不要に

埋め込み分析でレポート共有、より深い分析が可能に

複合機とIT サービスの組み合わせにより、オフィス環境の課題解決や最適化に貢献するソリューションを提供しているコニカミノルタ。その技術力を活かし2017 年から提供しているのが、ショッパー行動解析サービス「Go Insight」です。

このサービスは、店舗内に設置したセンサーやカメラのデータから購買者(ショッパー)の行動を分析し、その結果をデータ化して提供するというもの。購買者の棚前での滞在時間や目線の移動、どの商品を手に取ったかなど、POS データだけではわからないヒトの動きなど幅広い情報の収集・分析が可能になっています。

「主なお客様は日用品や飲食品などを製造するメーカー様です」と説明するのは、Go Insight のプロダクトオーナーを務める清水 隆史 氏。自社ブランドの商品が購買者からどのように扱われているのか、どのようなプロセスを経て買われているのか、買われなかった場合にはどの商品と競合したのか、といったことを把握するために活用されていると言います。「これらのデータは当社でレポート化して、お客様に提供しています。このレポートをもとに、流通小売のバイヤーに棚割りなどの提案を行うお客様も多いようです」。

このデータ分析と可視化の機能として、2018 年9 月から導入が進められてきたのがTableauです。「以前はデータ分析や可視化のために、当社の開発者がPython やR でプログラムを作成し、そのプログラムの結果をPowerPoint 化してレポートを作成していました」と語るのは、Go Insight の開発リーダーを務める福吉 祐輝 氏。その作業負担はかなり大きなものだったと振り返ります。「またプログラミングによる分析・可視化では、作業が属人化するという問題もありました。プログラミング能力が必要なので、対応できる人材が限られてしまうのです」。

これに加え「商品棚接触の状況をヒートマップとして可視化して欲しい」という要望に対応しようとしたものの、プログラミングで実現するのは困難だという問題にも直面。これを実現できそうな可視化ツールを探していたところ、Tableau ならできそうだということが判明したのだと言います。「部署内のメンバーからもポジティブな反応が得られたため、Tableau を導入することにしました」(福吉氏)。

データを見やすい形で簡単に可視化できることです。条件を設定すればデータのフィルタリングも可能です。Tableauで作成したグラフや表のスクリーンショットを撮れば、そのままお客様へのレポートに使えます

Tableau 導入・運用環境

Go Insight の仕組みは、Amazon Web Services(AWS)上で構築・運用されています。店舗内に設置されたセンサーやカメラからのデータは、いったんAmazon S3 へと集約され、Amazon Lambda とAlteryxで加工された後、Amazon RedShift に蓄積されます。このデータをAmazon EC2 上で動いているTableau Serverで分析・可視化し、社内のデータサイエンティストやコンサルタントに提供しています。分析・可視化のためのダッシュボードは、Tableau Desktopで作成。センサーやカメラから得たデータに加え、POS データや天気データも組み合わせて利用されており、商品接触回数や購入回数、通路滞在時間、エリア滞在時間、流入経路、視線解析、購買者属性などの軸で、分析・可視化できるようになっています。

定型的なレポートはJavaScript API を活用し、Web 画面にTableau ダッシュボードを埋め込む形で提供。Tableau Server の編集機能も利用可能にしています。シート遷移ボタンやダッシュボード間の値連携などは、独自にプログラミングを行うことで実現。ここでもTableau のJavaScript API が活用されています。

なおこれらの仕組みの構築では、開発パートナーとしてNTT データが参画しています。
「Tableau を事業部として導入するのはこれが初めてだったため、当初はどのように活用すべきなのか、構成や設定におけるベストプラクティスがわかりませんでした」と福吉氏。そこでTableau のパートナーであるNTT データに相談を持ちかけ、2018 年8 月から支援を受けているのだと言います。「Tableauに関する知見はもちろんのこと、埋め込み手法についても豊富なノウハウがあり、わずか3 か月でこの仕組みを実現してくれました。また開発パートナーという枠にとらわれず、ユーザー視点での改善提案などもしていただいたことにも感謝しています。Tableau によるデータ分析・可視化で悩んでいる企業があれば、ぜひNTT データをパートナーにすることをお勧めします」。

以前はデータの分析や可視化のために、Python などでプログラムを作成し、その 結果をPowerPoint でレポート化していましたが、Tableau を導入してからはその手間が削減されました。レポート作成の工数は以前に比べて1/3 ~ 1/4 になっています

Tableau 選定の理由

前述のように「ヒートマップによる可視化が可能」であることがTableau 採用のきっかけになりましたが、他にも以下の点が採用理由として挙げられています。

可視化表現の多様性
前述のように「ヒートマップによる可視化が可能」であることがTableau 採用のきっかけになりましたが、他にも以下の点が採用理由として挙げられています。

可視化表現の多様性
一般的なグラフ表示に加え、リアル店舗内での購買者行動を可視化するヒートマップやサンキーダイアグラムなども作成可能。Excel などに比べて表示がスタイリッシュであり、自由度も高いと評価されています。またTableau には活発なユーザーコミュニティがあり、これを通じて全世界のTableau ユーザーの可視化手法を共有できることも、大きなメリットだと福吉氏は指摘します。

GUIによる高い操作性
ドラッグ&ドロップでダッシュボードに多様なフィルターを設定でき、個々のユーザー独自の視点で分析が行なえます。分析軸の変更もカラムをマウスで選択するだけでよく、その結果もすぐに表示されます。これにより、多様な視点からの分析を素早く行うことが可能になります。

充実したWeb画面への埋め込み機能
JavaScript API を活用することで、Web 画面へのダッシュボード埋め込みを簡単に行なえます。API の種類も多岐にわたっており、ダッシュボードが提供する機能ときめ細かく連携した、独自のWeb 画面を作りやすくなっています。そのため自社サービスに組み込んだ場合でも、Tableau を前面に押し出すことなく、違和感のない形で利用できます。

「Web アプリケーションへの埋め込みプログラムの汎用化・簡易化です。このような プログラムを集約し、パーツとして扱えるようにすることで、ユーザー自らが動的に配 置・カスタマイズできる仕組みを実現したいと考えています」

Tableau 導入効果

Go InsightにTableauを組み込んだことで、次のようなメリットが得られています。

多様でわかりやすい可視化の実現
Python によるプログラミングでは実現が難しかったヒートマップや、視線トレース、サンキーダイアグラムなどの表現を、簡単に実現できるようになりました。「データをわかりやすく表現できるので、社内のコンサルタントがレポートを作成する際に、Web 画面のスクリーンショットをそのままレポートに載せるケースが増えています」と清水氏。顧客満足度も高くなり、リピート利用する顧客も多くなったと言います。

レポート作成の工数削減
データ分析・可視化のためのプログラムを作成していた頃は、そのための労力がかかっており、そのメンテナンスにも工数が必要でした。Tableauでその作業が不要になったことで、レポート作成の工数は以前の1/3 ~ 1/4 にまで削減されています。「担当者が変わった場合には引き継ぎも大変でしたが、Tableau ならダッシュボードを見ればその内容がすぐにわかります。レポート作成の時間が短くなった分、お客様との話し合いに時間を割けるようになったため、以前よりも深い分析が可能になりました」
(福吉氏)。

今後の展開について

Go Insight で使用されているTableau のダッシュボードは、提供開始から現在に至るまで、継続的に改善され続けています。今後もこの改善を進めていくと共に、機械学習などを活用したレコメンド機能の装備なども検討されています。

「現在はまだデータの可視化に力を入れているため、分析というよりも集計に近いものになっています」と清水氏。これからは分析をさらに高度化することで、顧客にとってより価値のある知見を提供できるようにしたいと語ります。「日本における購買の94%は現在もリアル店舗で行われています。ここでの行動をより深く分析することで、これまで以上に最適化された販促が可能になるはずです」。




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