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2022年7月28日事例を知る

事例から紐解く、データ活用を起点にしたビジネス変革成功の秘訣
~段階的なアプローチで成果拡大を導く「デジタルサクセス®」~

めまぐるしい環境変化を受けて、多くの企業は内部に蓄積する多種多様なデータの利活用により、ビジネスモデルやビジネスプロセスの変革に取り組む必要に迫られている。これまで、幅広い業種業態のビジネスを主にITの面からサポートしてきたNTTデータは、データ活用分野においても、お客様の成果創出に向けた中長期的な支援を積み重ねている。今回は、東京ガス株式会社と株式会社NTTドコモとともにデータ活用を推進している事例を交え、データ活用によるビジネス成功の秘訣を紐解く。
目次

データ活用を起点に「ビジネスの成功」を目指す

企業におけるデジタル変革の進展は、多くの新規サービスの誕生をもたらすとともに、新規プレーヤーの既存市場参入を容易にし、企業はこれまで以上に厳しい競争を生き抜く時代を迎えている。加えて、近年のコロナ禍で人々の働き方や行動パターンが変わる中、企業は想定外のリスクに対しても回復力をもって事業成長を継続させる方策を模索している。

テクノロジーコンサルティング事業本部長 谷中 一勝

テクノロジーコンサルティング事業本部長
谷中 一勝

企業のデジタル変革の鍵をデータ活用と捉える、テクノロジーコンサルティング事業本部長の谷中 一勝は次のように語る。
「業界を問わず、デジタル変革を事業価値の向上につなげていく、いわゆる“データドリブンカンパニー”を志向する企業が増えています。現在、多くの企業で取り組みの中心に位置づけられるのがデータ活用です。その進め方のパターンは大きく3つ。まず1つ目は、デジタルマーケティングによって個々の顧客体験をより高度化しようとする取り組み。2つ目が、企業間でデータを共有することで、バリューチェーン全体でビジネスモデルの効率化や強靭化を図るもの。3つ目が、データ活用からまったく新しいビジネスやサービスを生み出そうとする業態変革の動きです」。

NTTデータでは、データ活用によるビジネス成果創出を「デジタルサクセス®」と定義し、コンサルティングから基盤構築、実行支援を通じた成果創出までワンストップで支援している。デジタルサクセスの実現に向けて「ビジネス」「データ分析」「IT」「人材・組織」の4要素をバランスよく成熟させていくことを重視している。

図1:デジタルサクセス実現のために必要な4つの要素

図1:デジタルサクセス実現のために必要な4つの要素

谷中は続ける。「私たちは20年来の実績に基づいた、企業におけるデータ活用度の評価ツールを用意しており、まずはお客様に自社の現状を客観的に把握していただくことから始めています。同時に、お客様企業のビジネスを深く理解し、デジタル変革の全体構想立案、新しいビジネスモデルの構築、その運用・定着に向けた中期的なロードマップの策定などの協働作業を進めていきます。また、社内外の多様なデータを有効活用できるように可視化・整備を進めるとともに、これらのデータを専門的な知見から適切に分析、誰もが使いやすい情報基盤を整備することも必要です。中でも重要なのが人材育成であり、自律的にデータ活用ができる人材を社内で育て、拡充していかなければなりません。私たちはこれら4つの軸で企業の課題に寄り添い、段階的な解決を目指しています。」

成功を波及させるカギは、“着眼大局、着手小局”

多くの企業がデジタル変革に取り組む中で、共通の課題も浮かび上がっている。たとえば、ビジネス上のゴールが不明確なまま、特定の先端技術を使うことが目的化してしまい、いたずらに検証作業を繰り返し、成果につながらないケース。また、完璧なデジタル変革構想を策定しようと時間をかけて計画を練り上げているうちに、事業環境が大きく変化して計画がビジネスの実態に合わなくなるケースなども散見されている。

「デジタルサクセスの取り組みでは、全体構想を大きくざっくり考え、小さなトライアルを通じて早期に成功実感を得ていただくことを大切にしています。NTTデータは、これまで20年にわたって幅広い業界のデジタル変革を支援してきた経験から、データ活用において成果が出やすい業務・テーマについてノウハウを持っています。このノウハウを元に、お客様企業の現状に合わせて、『まずはこの業務から小さく始めてみましょう』と提案するようにしています。小さな成功を一つひとつ検証・習慣化していき、段階を追って企業全体に定着させていく流れです。私たちはこれを“着眼大局、着手小局”と呼んでいます」(谷中)。

図2:デジタルサクセス「着眼大局、着手小局」イメージ

図2:デジタルサクセス「着眼大局、着手小局」イメージ

(事例:東京ガス株式会社)
エネルギー自由化の潮流の中、改めてお客様を見つめ直す

東京ガス株式会社は、もともと首都圏に都市ガスを供給する日本最大のガス会社であったが、現在では電力を含む総合エネルギー企業として、事業活動をグローバルに展開している。世界各国から原料であるLNG(液化天然ガス)を調達し、都市ガスとして供給するほか、相対的にCO2発生量の少ない天然ガス火力発電による電力供給ビジネスも手がけている。

東京ガス株式会社 リビング戦略部 データ活用推進グループ マネージャー 中山 香奈子 氏

東京ガス株式会社
リビング戦略部 データ活用推進グループ マネージャー
中山 香奈子 氏

同社リビング戦略部のデータ活用推進グループ マネージャー 中山 香奈子氏は、東京ガスがデータ活用に取り組む背景をこう話す。
「2016年にエネルギーの自由化(※)が始まるまで、東京ガスはエネルギー事業者として国の規制に守られた会社でした。このため1,000万件を超える家庭用のお客様とのお取引がありながら、戦略的なマーケティングに取り組む文化やノウハウが不足していたのです。そこにエネルギー自由化の大波を受け、東京ガスとしても新たに家庭用の電力事業に参画。電力契約のあり方や料金設計などを一から模索していく過程で、一人ひとりのお客様のプロファイルを紐解き、都市ガス事業も含めてマーケティング活動を本格化しました」。

(※)エネルギーの自由化

電力やガスの個人・法人需要家の利便性や選択肢を拡大するため、エネルギー事業者間の競争による価格低減やサービス向上などを促した国の政策のこと

各事業でのデータ活用が定着し、バリューチェーンでの価値創出へ

東京ガスが本格的なデータドリブンマーケティングに着手するタイミングで、NTTデータはデジタル変革の道筋をともに考えるパートナーとしての支援をスタートしている。

「当時は、お客様のデータが『契約』『定期保安巡回』『メンテナンス』などの業務ごとに別々のシステムに蓄積されていました。そのため、1人のお客様の情報を業務横断でクイックに把握・分析できておらず、これらのデータを俯瞰して見ることのできるデータ基盤の整備が必要でした。NTTデータはデータ分析やシステム基盤のプロフェッショナル集団であり、弊社事業部門のメンバーとともに、どのようなデータ分析基盤を構築すれば弊社の業務の中で最も活用しやすいかを検討してくれました」と中山氏は話す。

NTTデータは、まず東京ガスの事業部門ごとのデータ分析ニーズについてヒアリングを実施。複数の情報ソースから必要なデータを集め、各事業部門における使いやすさを第一に考えたデータ分析基盤を構築した。また、事業部門からコーポレート部門までのメンバーを対象に、受講者のITリテラシーに応じてデータ分析をビジネスに活かすための勉強会をシリーズで開催していった。

これまで6年ほどの取り組みの成果を、中山氏はどのように評価しているだろうか。
「構築したデータ基盤の社内ユーザーは年々増えていますし、日常的にデータを使ってマーケティング戦略をつくり込むといった業務スタイルは部門を越えて根づきつつあります。マーケティング部門でのデータ活用が刺激となって、全社的にもデータ活用が役立ち始めています。定量的なデータ分析に基づいて意思決定を下すことでオペレーションの最適化を図るなど、データドリブン経営を目指し、東京ガスグループが一丸となって取り組める環境が整ってきたと感じています」(中山氏)。

(事例:株式会社NTTドコモ)
多様化するサービスをOne to Oneで届けるには

国内最大の移動体通信キャリアである株式会社NTTドコモ。通信事業に加えて、約8,700万ユーザーが加入するポイントプログラム『dポイント』や、スマートフォン向けの動画・電子書籍などのコンテンツ配信、クレジットカードをはじめとする金融・決済系サービス、ショッピングやヘルスケア関連サービスなど多種多様なサービスを提供している。

株式会社NTTドコモ データプラットフォーム部長 鈴木 敬 氏

株式会社NTTドコモ
データプラットフォーム部長
鈴木 敬 氏

同社がデータ活用に取り組む狙いについて、データプラットフォーム部長の鈴木 敬氏は次のように語る。
「NTTドコモグループは、中期戦略の中で“事業運営のデジタル化”と“データ活⽤”の加速を掲げています。今、私たちは非常に多くのサービスを提供しており、各サービスとお客様との接点から、多様かつ大量のデータが生まれ続けているからです。これらのデータを適切に活用できれば、一人ひとりのお客様をより深く理解し、お客様に提供するサービスの価値を高められます。さらには、弊社やパートナーが推進する事業そのものの価値を高めるエンジンとしてデータ活用を捉えています」。

しかし、「事業の中にデータ活用を組み込み、成果を挙げることの重要性はわかるが具体的にイメージできない」「手本となる活用モデルを示してほしい」といった社内の声も多かった。こうした課題を踏まえ、鈴木氏率いるチームでは、NTTデータとの協働を通じて(1)使いやすいデータ基盤を整備し、(2)あらゆる部門で使えるデータ活用の標準プロセスをつくり、(3)データ活用を実践できる人材育成プログラムを強化していった。

人が育ち、サービス品質は高まった。次のゴールは、事業価値の向上

一連の取り組みの中でNTTデータの果たした役割について、鈴木氏はこう強調する。
「多くの企業のデジタル変革を支援された経験・ノウハウをもとに、私たちの多岐にわたるサービスで成果を挙げやすいデータ活用の“標準プロセス”を整備していただきました。また、人材育成プログラムについても、事務局の運営から具体的な育成手法に至るまで、まさにワンチームとなってつくり上げることができたと考えています」。

NTTドコモの様々な事業を横断して集められる、データセットのフォーマットや活用ルールが統一的に整備されてきたことから、鈴木氏は、各事業サイドでのデータ活用の立ち上げスピードが速くなったことを実感している。
「データ活用により、ドコモが提供しているサービスの水準も上がってきています。中期的に進めてきた社内人材の育成プログラム『docomo DATA X Camp』は、2022年度末には1,000名が研修の全課程を修了する計画です。今後は育った人材が獲得したスキルを活かし、切磋琢磨しながら各事業で活躍できる環境を整えていくことも重要になります。その結果、NTTドコモが展開する全ての事業でデータ活用が日常的に活発化し、事業価値を高めることに結びつく。将来的には、多様な事業で成功事例が蓄積され、NTTグループ全体で柔軟に活用できるビジネス資産になればと思っています」(鈴木氏)。

NTTデータのアセットを融合し、企業の事業成長を支え続ける

最後に、谷中は今後の意気込みをこう語った。「様々な業界で、ビジネスとITとデータが三位一体となり、新しいビジネスが形成されています。もともと、NTTデータはお客様企業への先端的なテクノロジーの実装やシステムの運用を通じて、多種多様な業界・業種の幅広い知見を蓄積してきました。それに加えて、私たちの部門には、企業経営の改革を提言できるコンサルタント、最適なデータ分析モデルを構築できるデータサイエンティスト、お客様企業ごとに使いやすいデータ基盤を構築するITエンジニアが多数在籍しています。さらに、これまでのデジタル変革の支援実績から、データ活用のビジネスへの応用に関する350以上のユースケースを蓄積。これらのアセットをお客様企業のニーズに応じて組み合わせ、NTTデータだから提供できる価値にこだわりながら、ビジネスにおける成果創出に貢献していきたいと考えています」(谷中)。

NTTデータは今後も、蓄積されたデータ資産の活用で企業の事業成長を支援するとともに、世界のグループ会社との連携を強化し、デジタルサクセスのグローバル展開にも注力していく。

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