近年ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の認知度が拡大し、さまざまな企業で取り組みが活発化している。しかし一方で、その中核ともいえるデータ活用に課題を抱えている企業は多い。また、新型コロナウイルスの影響から、その活動が制限されている企業が増えているのも実情だ。そこで本記事では、データ活用の分野で市場を牽引しているNTTデータ、Tableau、Snowflakeの3社が集結。データ活用における課題や解決策、新型コロナウイルスがもたらした影響、そして今後の企業に求められる姿などについて語り合った。

  • 左からSnowflake 東條 英俊 氏、NTTデータ 谷中 一勝 氏、Tableau 佐藤 豊 氏

    左より、Snowflake株式会社 日本代表 東條 英俊 氏、株式会社NTTデータ ビジネスソリューション事業本部 AI&IoT事業部長 谷中 一勝 氏、Tableau Software カントリーマネージャー 佐藤 豊 氏

データ活用の成功を阻む“テクノロジーありき”の考え方

株式会社NTTデータ ビジネスソリューション事業本部 AI&IoT事業部長 谷中 一勝 氏

NTTデータ 谷中氏:近年では多くの企業が真剣にDXと向き合い、取り組みを加速しようとしています。その中心に位置しているのがデータ活用です。一部の試験的な取り組みだけでなく、全社的なデータ活用を進めていきたいという企業も増えてきました。この流れを“AI民主化”“AI at Scale”と言ったりしますが、そのワードのキャッチーさに比べ、いざ実現するとなると数多くの障壁が待ち受けているのが実態です。

実際にデータ活用を推進している企業でも、満足な成果が得られずPoCレベルで止まってしまっていたり、単発のシステム導入プロジェクトで終わってしまうなど、全社的・継続的な取り組みまで至っていない事例も見受けられます。データ分析基盤を導入したが使われない、データ活用を推進するにも人材がいない、といったケースもありますね。

Tableau Softwareカントリーマネージャー 佐藤 豊 氏

Tableau 佐藤氏:弊社の分析プラットフォーム「Tableau」は全世界のお客様にご利用いただいていますが、おっしゃる通りツールは使われなければ意味がないものです。“デジタル時代の成功”にはさまざまな側面があると思いますが、現在の日本企業においては“データドリブンカルチャーの醸成”がひとつのゴールだと考えられています。データやツールを持っているだけでなくて、それらを使っていかに価値を創出できるかがポイントですよね。こうした観点から、弊社では企業がデータドリブンな組織へと変革を遂げるために、そのノウハウやベストプラクティスなどを「Tableau Blueprint」として集約・提供しています。

谷中氏:まさにその通りで、“テクノロジーありき”の考え方は全社的なデータ活用の成功を阻む原因となります。社内におけるカルチャーの醸成や人材などを含む、広義の意味でのテクノロジーの活用力を理解していればよいのですが、問題なのは「ツールを導入したから大丈夫」という考え方ですね。ツールはあくまでも手段のひとつでしかないので、どのような業務領域に対してデータ活用を推進するのか、データ活用に必要な人材はそろっているのか、どういうステップで進めていくのかなど、総合的に判断していく必要があります。

Snowflake株式会社 日本代表 東條 英俊 氏

Snowflake 東條氏:テクノロジーの力を活かせる人材の確保は、どの企業でも課題になっていますね。こうした人材問題を少しでも解決できるよう、弊社が提供している分析基盤「Snowflake」はSQLベースで開発されています。SQLベースなら、これまで培ってきたエンジニアの知識や技術をそのまま活かすことができ、応用もしやすいですから。人材の確保・育成にかかる手間や時間を減らしつつ、現在だけでなく今後数十年にわたり有効な分析基盤を提供し、レガシー環境では難しかったことの制約を解放できればと考えています。

谷中氏:やはりツール単位のテクノロジーではなく、カルチャーや人材などを含めた総合的な視点と取り組みが重要ですよね。全社的なデータ活用の実現に向けた要件としては、大きく「中期的なロードマップ」「必要なテクノロジーの見極め」「データの準備・整理」「組織設計と人材の育成・強化」の4つが挙げられると思います。まずは、“小さな成功”によって企業内に“最初の波紋”を作り出すことが重要になるでしょう。この波紋が周囲を巻き込みながら拡大し、最終的に全社的なデータ活用が実現するわけです。波紋がいかに上手に伝わるかは、中期的なロードマップや組織設計・人財にかかってきます。ただし “お試し感覚”といったライトな考えでは、ほとんど成果が得られません。関わる人の成功させたいという意欲も鍵になります。こうした失敗を重ねた結果、最近は“目的設計の重要性”に気付き始めた企業が増えています。

このような背景から、NTTデータでは、企業のDX戦略策定からAI人財育成およびデータ活用基盤の構築、AI・データ活用の実務支援に至るまで、AI・データ活用を起点にビジネスの成功を支援する「デジタルサクセス™プログラム」を提供しています。これは、「ビジネス」「IT基盤」「データ整備」「人材・組織」という4つの要素において、構想策定から成果創出までを一貫して支援するサービスです。ひとつの断面やツールにとらわれることなく、総合的な観点から取り組んでいただくことで、AI・データ活用によるビジネス変革の自律的な推進が可能となります。

変化を余儀なくされた新型コロナウイルスの影響

谷中氏:2019年11月に新型コロナウイルス感染が発生して以来、世界中で人々の生活やビジネスに多大な影響が出ています。顧客接点はリアルからオンラインへ大幅にシフトし、対面での業務が多かった日本企業もリモートによる在宅勤務が日常化してきました。現在は、コロナによる足元の変化に対応する短期的な「ステージ1」が終わり、持続的成長につなげるための「ステージ2」に移行しようとしています。弊社でもお客様の現場での状況を収集し、変化を常にウォッチしていますが、こうした変化をどのように感じていますか?

佐藤氏:弊社では、新型コロナウイルス影響下における企業活動の回復を「会社の安定化」「事業の再始動」「ビジネスの成長」という3段階に分け、データを用いて経営判断ができるようサポートを行っています。こうした活動を通じて、ビジネス面で圧倒的に変わったと感じるのは、意思決定の間違いがより大きなダメージにつながってしまうことから、従来のような「人の感覚や経験値をベースとした意思決定」ではなく、「データに基づいた迅速な意思決定」が必要になっているという点ですね。また、これまでの中央集権型では求められるスピードには追い付けないため、ガバナンスの取れた分散型で、なおかつ適切な人が適切なタイミングで意思決定を行う必要も出てきました。このような環境を実現するには、セキュアかつ高信頼なプラットフォームの存在が必要不可欠といえます。

東條氏:新型コロナウイルスに対する回復支援の一例としては、弊社も米国のStarschema社と連携したものがあります。Starschema社は地域ごとの感染者数や受け入れ可能病床数など、感染状況に関するデータセットを日々更新していて、Snowflakeのマーケットプレイス上で無料公開されており、すぐに分析に利用できるようになっています。一般的なビジネス環境の変化と違い、今回のようなイレギュラーな環境下では不確実性と変化のサイクルが非常に早く、そのぶんだけ予測が難しいといえます。こうした状況の中でデータを活用するには、小さくてもすぐに始められ、全社的により大規模な活用となるにつれて柔軟にスケールさせていくアプローチの有効性が増してきますね。

谷中氏:予測が極めて難しい中、迅速でありながらも間違えられない意思決定へのプレッシャーは、多くの企業で課題になっていますね。環境や顧客の行動が変われば、過去のデータに基づく需要予測などこれまでのAIモデルは使えなくなります。不確実性が増した現在では、従来の機械学習の仕組みに精度劣化の検知・分析といった運用を組み合わせた「MLOps(Machine Learning+Operations)」の導入や、データビジュアライゼージョンの導入も重要となってくるでしょう。

MLOpsも進化してきており、学習時のデータの分布と予測時の入力データの分布の違いを瞬時に解析し、どのような特徴量に変化が生じているかがわかるため、たとえば、コロナ禍で物販の売れ行きの変化がどんな要素から生まれているのか? なんてことが見えてきたりします。また、AIだけでなく、データのビジュアライゼーションによって、人のこれまでの経験と勘とも上手く組み合わせたインサイトの導出もますます有効になってきます。

今こそ目指すべきニューノーマルな考え方・働き方

谷中氏:現在、新型コロナウイルスによる影響からの回復を目指して、世界各国の企業がさまざまな側面から取り組みを強化しています。しかし、単純に“今までのノーマル”に戻ることが回復ではありません。もちろん、企業にとって売上的な回復は必要不可欠ですが、欧米と比べてデータ活用への取り組みが大幅に遅れている日本企業では、この危機をひとつのきっかけとして、今こそニューノーマルな考え方・働き方に変えていくべきタイミングではないでしょうか。

佐藤氏:まさにその通りですね。新型コロナウイルスのような、企業にとって不測の事態は今後もいつ起こるかわかりません。こうした事態に対応していくためには、各企業でデータドリブンカルチャーを醸成し、全社的なデータ活用でいかに持続的な社会を作っていくかが重要だと思います。

東條氏:ニューノーマルな考え方・働き方に変革し、全社的なデータ活用を実現させるためには、なによりEnd to Endの設計が欠かせません。インフラやツールの成熟だけでは難しい、何年も先を見据えた広義のテクノロジーを広めていくには、NTTデータのように総合的な支援ができる企業の存在が特に重要だと感じます。

谷中氏:新型コロナウイルスは、世界中の人々や企業にとって大きな災厄をもたらしている反面、デジタル化を加速するひとつの要因となったのもまた事実です。そうした中で、この3社がパートナーシップを組むことは象徴的であり、ニューノーマルなビジネス基盤・生活基盤の構築に向けた大きな一歩であるともいえます。

柔軟に対応できるスケーラビリティを備えた「Snowflake」という盤石な基盤、誰でも的確かつ迅速なデータ分析が行えるようになる分析プラットフォーム「Tableau」、そしてデータの集約・実装・活用・運用などをトータルに支援する弊社がタッグを組むことで、新たな時代に対応する全社的なデータ活用が可能になります。今後もお客様と寄り添いながら、単なるツールの組み合わせではない、広義におけるテクノロジーの価値を十二分に引き出せる環境作りを目指していきたいですね。

  • 左からSnowflake 東條 英俊 氏、NTTデータ 谷中 一勝 氏、Tableau 佐藤 豊 氏

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